米国株や米国ETFへの投資によって得られた配当金は、米国内で10%、日本国内で約20%の合計約30%の税金がかかります。
いわゆる二重課税の問題です。
ただし、この米国内での課税である10%分は、確定申告を行い、外国税額控除を受けることで所得税から控除を受けることができます。
米国で上場されている株やETFに投資する場合は、このような税務処理が必要になります。
では、日本で上場されている国内ETFの中で、米国株に投資するETFはどうなるのでしょうか。
今回は、米国株等の外国資産を投資先とする国内ETFや投資信託の分配金にかかる税制の内容と、2020年1月から税制改正により、それがどのように変わるかについて解説します。
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2019年12月末までに支払われる投資信託、国内ETF等の分配金にかかる税金
日本籍の投資信託やETF、REIT、JDRのうち、米国株などの海外資産を投資先とするものについては、投資家からは見えないところで税金がかかっています。
なお、JDRとは日本預託証券のことです。
有名どころでいうと、ADR(米国預託証券)ですが、この日本版です。
ADRって何?という人向けにこちらの記事で詳しく解説しています。

話を戻します。
例えば米国株を投資先とする国内ETFであれば、投資先の米国企業からファンドに支払われた配当金に10%の税金がかかり、さらにファンド側から投資家に支払われる分配金に約20%の税金がかかることになります。
投資家からすれば、手元にきた分配金から20%の税金が取られただけだと思いがちですが、ファンドが受け取った配当に対してしっかり10%の現地課税がされているため、表面上見えないものの、その分投資家が受け取る分配金は目減りしているのです。
(引用元:マネックス証券)
2020年1月以降に支払われる投資信託、国内ETF等の分配金にかかる税金
先ほどと同様、ファンドには米国内で課税されてしまうのですが、投資家に分配金として支払われる段階で、米国での現地課税10%分を自動で調整してくれるのです。
したがって、これまで投資家側に間接的にかかっていた米国内での現地課税が投資家側が負担する必要がなくなり、二重課税問題が解消されます。

(引用元:マネックス証券)
これはありがたい税制改正ですね。
これまでは確定申告で外国税額控除を受けない限り、現地の課税を免れることはできませんでしたが、それを自動でやってくれるようになるのです。
2020年1月以降、投資信託、国内ETF等の分配金はどうなる?
米国を例に取ると、ファンドに課税されていた現地課税10%分がそのまま投資家に分配されることになるため、それ以外の条件が全く同じと仮定すれば、私たちが受け取る分配金は増えることになります。
国内ETFは信託報酬が高めのものが多く手が出しにくい印象でしたが、この改正によって国内ETFも選択の幅が大幅に広がります。
現地課税分の調整に何か手続きは必要?
何も手続きは必要ありません。
これも地味にありがたいです。
外国税額控除のような手続きもする必要がなく、完全に自動で税金が調整され、私たち投資家は何もする必要がないのです。
もちろん米国株や海外ETFは今回の改正の対象外ですので注意してくださいね。
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