「ウォーレン・バフェット」
投資をやっている人であれば一度は耳にしたことのある名前ではないでしょうか。
世界最高の投資家と言われるウォーレン・バフェットはいわゆる「バリュー投資家」として有名です。
簡単にいうと、その会社の価値に比べて株価が割安な株を買って、株価が上がったら売るという投資手法のことです。
では、バフェットはどのようにしてこの割安な銘柄を見つけていたのでしょうか。
今回は、バフェットが行なった割安な銘柄を見つけるための3つの投資手法について初心者向けに解説します。
ウォーレン・バフェットって?
ウォーレン・エドワード・バフェット(Warren Edward Buffett)は、アメリカ合衆国の投資家、経営者、資産家である。世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務める。大統領自由勲章を受章している。
バフェットは、長期投資を基本スタイルとし、長期間に渡ってバークシャー・ハサウェイに高い運用成績をもたらしている。地元ネブラスカ州オマハを中心とした生活を送っているため、敬愛の念を込めて「オマハの賢人」(Oracle(Sage) of Omaha) とも呼ばれる。毎年開催されるバークシャー・ハサウェイの株主総会では、バフェットと同社の副会長チャーリー・マンガーの話を聞くために、世界中から数万人にものぼる株主が参加している。
(Wikipediaから引用)
バフェットは、世界的に有名な投資家で「世界最高の投資家」、「投資の神様」などと称されています。
バフェットの投資による平均リターンはなんと、年間約20%。
それも一時期で大きく稼いだのではなく、安定的に利益を得ているのです。
安定的に成長してきたS&P500ですら年約9%ですから、バフェットの投資によるリターンがいかに高いかが分かるかと思います。
S&P500のチャートやその成長率の高さについてはこちらの記事で解説しています。

ウォーレン・バフェットの3つの投資手法
バフェットは、過去に3つの投資手法を使っています。
3つといっても、同時に3つの投資手法を使い分けていたのではなく、時代に合わせて投資手法を変えていったのです。
このバフェットの3つの投資手法を時代別に紹介します。
- PBR(シケモク買い)
- PER
- EV/EBITDA倍率
1.PBR(シケモク買い)
PBRとは、Price Book-value Ratioの略で、株価純資産倍率と訳されます。
「PBR=株価÷一株あたり純資産」で計算することができます。
要するに、その会社の時価総額を会社が持っている不動産や設備などのすべての資産額で割ったものがPBRです。
PBRが1を下回るということは、その会社を潰して、不動産や設備等の資産をすべて売却すれば利益が出る状態ということです。

バフェットは、最初これを利用して、PBRが1を下回る会社をまるごと買い、それを潰して、資産をすべて売却することで利益を得ていたのです。
この投資手法は、シケモクのようなゴミに近い企業を買って、最後の最後に残った分の利益を得ることから、「シケモク買い」と呼ばれています。
バフェットが会長を務める「バークシャー・ハサウェイ」という会社をご存知でしょうか。
今やバークシャー・ハサウェイは、保険業を基本として、様々な投資事業を展開する米国の大企業です。
このバークシャー・ハサウェイは、元々は紡績会社でした。
それを1960年代、この「シケモク買い」によりバフェットが買収したのです。
しかし、その後、バフェットは「人生最大の失敗はバークシャーハサウェイを買収したことだ」と語っています。
シケモクのような企業を買っても結局最後の火すらつけられないような状態であれば買う意味はありません。
2.PER
その後、バフェットはシケモク買いからPERという指標を用いるようになります。
バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムもこの指標で割安株を見つけていました。
PERとは、Price Earnings Ratioの略で、株価収益率と訳されます。
「PER=株価÷一株あたり純利益」が計算式となります。
例えばその企業の時価総額が100億円、そしてその企業が1年で得た純利益が10億円とすると、PERは10倍となります。
要するにPERは「純利益何年分で企業価値の元が取れるか」という考え方ということになります。

先ほど例に出した企業の発行株式数が1億株だとしましょう。
そうすると、株価は100円、一株あたりの純利益は10円となります。
それぞれ時価総額と純利益を発行株式数で割っただけです。
この純利益をすべて配当に回すとすれば、株主は、一株あたり10円受け取れるわけです。
100円の株を持っていて、1年で10円の配当金がもらえるのであれば、10年で元が取れますよね。
これがPERの考え方です。
もちろん、純利益すべてが配当に回されることは少ないでしょうから、実際にはこの計算に当てはまらないものも多いと思いますが、割安株を判断する一つの考え方として理解しておいてください。
このPERが低ければ低いほど「一般的には」割安ということになります。
なお、PERの平均は約15倍と言われているので、割安感を判断する一つの基準になるかもしれません。
しかし、最も大切なことは「PERが高ければ買わない、低ければ買う」という単純なものでないことを理解することです。
例えば、ディズニーランドを運営しているオリエンタルランドは、PER66倍です。
平均が15倍のところ、66倍ですからとんでもなく割高ということになります。
それでも買われているのは、ディズニーランドの規模が拡大し、アトラクションが増え、業績が上がるにつれてオリエンタルランドの株価も上がることを株主たちが予想しているからです。
3.EV/EBITDA倍率
PERの次に出てきた考え方がこのEV/EBITDA倍率です。
EBITDAは、Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの略で、金利・税金・償却前利益と訳すことができますが、日本語名は決まっていないため、そのままEBITDAと表記されます。
EBITDA=税引前利益+特別損益+支払利息+減価償却費(有形固定資産償却費と無形固定資産償却費の合計)が計算式となります。
EVとは、Enterprise Valueの略で企業価値と訳されます。
EV=時価総額+有利子負債~現預金で計算できます。
このEVをEBITDAで割ったものがEV/EBITDA倍率です。
例えば、次の二つの企業があったとします。
- 時価総額1000億円、税引き前利益200億円、税引後純利益100億円の日本企業
- 時価総額1000億円、税引き前利益200億円、税引後純利益150億円のアメリカ企業
つまり、200億円の利益が上がった場合、アメリカより日本の方が50億円多く税金を取られる仮定ということです。
この時、PERでいうと、①の日本企業は10倍、②のアメリカ企業は約6.67倍となります。
PERだけ見ると、倍率が低い②のアメリカ企業の方が割安ということになります。
しかし、企業をまるごと買収する考え方に立つと、本社を置く国を移動させれば税制等は変えることができます。
つまり、この場合PERでは正しい割安感が図れないため、国による税金等の違いは考慮せず、税金などを調整する前の利益で割安感を考えましょう、ということです。

これがEV/EBITDA倍率の考え方です。
まとめ
今回紹介したように、バフェットは、最初はPBRを見て投資をし、その次PERに移り、最後はEV/EBITDA倍率見て投資をするようになりました。
バフェットのように、世界の企業をまるごと買うという投資手法においては、その企業の本質的な価値を最も判断できるEV/EBITDA倍率を用いるのが最適です。
企業を買って、気に入らないところがあれば自分の経営手腕で直していけばいいだけですから。
投資初心者はPER、PBRだけ見ておけば十分です。
バフェットは、もともとテクノロジー関連株を買わないと話していました。
それは「テクノロジーはよく分からないので、よく分からないものは買わない」という理由からとのことです。
しかし、2018年頃からバフェットはテクノロジー関連株を買い始めています。
この理由は、テクノロジー関連株のEV/EBITDA倍率が低いからです。
難しい指標を見なくても世界の株に簡単に分散投資ができる投資信託やETFについてはこれらの記事を参考にしてみてください


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